コラム
COLUMN
書き方
【Q&A】自分史を書くうえで、自身のマイナスな要素はどのように扱うべきでしょうか。
Q
自分史を書くうえで、「人に知られたら恥ずかしいこと」や「誰かに知られたらまずいこと」といった、自身のマイナスな要素はどのように扱うべきでしょうか。
A
人間は長い人生において、過ちの一つや二つは犯しているのが普通です。逆に常に真面目で高潔といった、聖人君子のような人はほとんどいないでしょう。
「失敗は成功のもと」ということわざがあるように、そもそも人間は失敗を繰り返して成長していく生き物です。小さな失敗やミスを含めれば、数えきれないほどの過ちが思い出されるのではないでしょうか。
過去の失敗や失態、しくじりといったマイナスな要素を乗り越え、それを糧にして今があるわけですから、基本的にはそれらを自分史に包み隠さずに書いたほうが、人間味があって面白いと思います。ただ、それでもなお、他人に知られたくないこともあるはずです。
では、どこまでの過ちを書けばいいのか。その線引きの目安として、「過去の失敗を笑いに昇華できているかどうか」にすると、ちょうどいいかもしれません。
例えばお金がらみなら、過去にギャンブルに嵌って消費者金融から何百万円ものお金を借り、今もなお返済に追われていたとしても、それを笑い飛ばせるほどの精神状態であればなぜそうなったのかを面白おかしく書けそうです。
逆に、今でも笑えない過去の失敗を、あえて書く必要はないと思います。誰にも知られたくないことなら永遠に自分の胸に留めておけばいいことですし、無理やり書こうとしても自分史を書く意欲が失せるだけだからです。
これは実際にとあるお客様から聞いた話ですが、その方はうまい投資話を持ち掛けられ、数千万円の退職金を全てつぎ込みました。しかしそれがどうやら詐欺だったようで、退職金は全て水の泡に。非常に気さくでありのままをお話しくださる方でしたが、それだけは誰にも知られたくないとの意向で、退職金の話は自分史には載せませんでした。もちろん、これでいいのです。
自分史だからといって、すべてを網羅する必要は全くありません。シンプルに「自分の判断で書きたいことを書く、書きたくないことは書かない」。過ちに関しても書けそうな過ちは書く、引きずっていることは書かない、というスタンスが自然でいいのではないでしょうか。