コラム
COLUMN

書き方

2019/11/21

「自分史」に、幼い頃の実家の周辺のことを書く

「自分史」に、幼い頃の実家の周辺のことを書く

 

幼い頃の、家の周辺のことを覚えていますか。

 

 

前回は幼少期の家の間取りについて触れたので、今回はその続きです。

さっそくですが目を閉じ、当時のことを思い出しながら、記憶のなかでそのときの靴を履き、扉を開けて外に飛び出てください。さて、目の前に広がる当時の光景を思い出せるでしょうか。

 

・実家の家の外観、外壁の色

・向かいや両隣の家の雰囲気、形

・玄関から見える景色

・街並み、道路

・騒音

・におい

 

 

これらについて可能な限り思い出せたら、そこから小学校や中学校など、徒歩圏内の目的地を決めて歩いてみましょう。さて、その道中にあったものを思い出すことはできますか。

 

 

・道中にあった建物、店舗

・印象的な家

・公園、遊んだ遊具

・街の雰囲気

・動物、植物

 

 

例えば通っていた小学校に着くまでの道中だけでも、色々なことが思い出せるはずです。それらもまた、「自分史」を書くにあたって貴重な情報になります。書くうえで大切なのは、できるだけそこで何があったかという出来事やエピソードを記すこと。家の隣には○○があって、小学校までの道中には●●があったというように、ただの情報の羅列だとそこから話が膨らまないので、できるだけ何があったかを思い出して書くのがいいと思います。

 

例えば今住んでいるところが実家から遠く離れていても、グーグルマップのストリートビュー機能を使えば今の街並みが画像として確認できます。自分の幼少期とは様変わりしているかもしれませんが、それでも当時のことを思い出すための大きなヒントになると思います。もちろん、実際に実家に戻ってみるのも効果的です。ぜひ、幼少期の周りにあったものや出来事を、可能なかぎり思い出してみてください。

 

参考までに、自分の記憶を簡単に記してみます。

 

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私は小学校3年くらいのとき、実家の向かいに住む3歳上の兄ちゃんから毎週、彼が読み終えた週刊少年ジャンプをもらっていた。最初のうちは、わざわざ家まで届けてくれたのだが、次第にそれが面倒くさくなったようで、彼は私に「玄関の犬小屋の上にある棚に置いておくから、勝手に持って行っていいよ」と言った。私はただでジャンプを頂いている身、その提案に全く異論はない。

 

とはいえ、そのやりとりをするうえで最大の懸念事項があった。その犬小屋にはかなり大きめな秋田犬がいたのだ。小学校3年の私にとって、そのサイズ感は恐ろしいとしか言いようがない。それでもジャンプを読みたさに、その犬が休んでいるであろうタイミングを見計らいながら小走りで取りに行き、何とか無傷で取得することに成功し続けていた。

 

しかしそれから一年くらいが過ぎた頃だろうか、初夏の夕暮れどき、いつものように恐る恐るジャンプを取りに行ったのだが、足を滑らせて犬小屋を蹴っ飛ばしてしまった。するとどうだ、小屋からけたたましい鳴き声を発しながら危惧していた秋田犬が飛び出してくるではないか。

その秋田犬は、ジャンプを片手に逃げ出そうとする私の左スネを躊躇なく噛んだ。私はなんとかそれを振りほどきながら、命からがら目の前の家に逃げ帰ることができたのだが、それ以降、ジャンプを取りに行くことができなくなってしまった。

 

今思えば、そんなリスクを負わずとも、もっとスマートな受け渡し方法があったような気もするが、タダでもらっているという立場上、図々しく自分の都合のいいような提案ができなかった私の心の弱さもあったのだと思う。

ともあれ、私は思いっきりスネをかじられて以降、犬が苦手になってしまった。週刊少年ジャンプのほうは、立ち読みで済ませるという新たなテクニックを覚えたので問題なかったように記憶している。

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