コラム
COLUMN
書き方
「自分史」を書く前に、しておくといいこと
「自分史を書いてみよう!」
そう思い立ったとき、まず何に着手すればいいのでしょう。自分の記憶や思い出を頼りに、とにかく書き進めていくのも一つの手です。たしかに、「自分史」を書くこと自体が億劫なことですから、とりあえずぶっつけ本番で書いてみるというのも一つの有効な始め方です。まずはノープランでもいいいので書いてみることで、次第に最適な執筆スタイルが見つかると思います。
一方で「闇雲に書き進めたが行き詰まってしまった」「最初から完璧を目指したい」「2冊目は手際よく進めたい」などと考えるのであれば、大切になるのは段取りです。
手際よく進めるにあたり、まずすべきは年表づくりです。「自分史 年表」などと検索すれば、いくつかの自分史作成用の年表が無料でダウンロードできますので、使いやすそうなものをピックアップして記入してみてください。これにより、自分の人生を俯瞰して全体像をつかんでおけば、その後の進め方がスムーズになると思います。
身近な例で言えば、履歴書も自分史のための立派な年表です。履歴書は「公」、いわゆるオフィシャルな自分の情報を書くべきものなので、ここに「私」の部分を書き加えるとより全体像がつかみやすくなります。「1976年 杉並区に3LDKの一軒家を買う」「1990年 バイクツーリングのめり込む」といった具合ですね。
さらに、その年の社会現象、ブーム、大事件などをまとめた年表と照らし合わせながら順を追って書くことで、自分史に書くべき情報が全て把握できると思います。
次にするのは、自分の人生にかかわる資料を集めること。古いアルバムに収められた写真情報をはじめ、幼いときの通知表や社会人になったばかりの給与明細、知人への手紙など、机の中や押し入れの隅に眠っている資料は意外に沢山あるはずです。仮にボロボロになった紙切れ一枚のレシートだとしても、それをきっかけにでしか思い出せない貴重なエピソードがあるかもしれません。
他にも卒業アルバムや文集、日記帳、年賀状、学生時代のノート、表彰状、学生時に作った図工作品、ラブレター、映画館や遊園地の半券、名刺ホルダー、パスポート、家計簿、病院のカード、過去の携帯電話などは、「自分史」的な見方をすればどれも歴史的な価値の高い貴重な資料です。処分や紛失によって保存されていないものもあると思いますが、可能なかぎり集めることをお勧めします。それの資料はすべて、自分が生きてきたことを証明するものだからです。
こうして可能な範囲で資料を集めたあと「旧友やお世話になった人に会う」、「思い出の地を訪れる」などをすれば完璧です。特に旧友は自分が全く忘れ去っていた過去を意外と覚えていたりしますから、他者から得られる情報も非常に有益です。これだけ材料がそろえば、最高の状態で書き進められるのではないでしょうか。
仮に資料集めを全てやったことに対して満足し、結果的に自分史を書かなかったとしても、自分史がきっかけで過去を振り返ったり旧友に会えたりしたら、それだけでも意味のあることだと思います。その時点ですでに、多少なりともその人の人生が豊かになっているからです。