コラム
COLUMN
書き方
とりあえず、「自分史」を書いてみよう。
自分史は、「とりあえず書いてみる」という気持ちが意外と大切です。
自分史を書くのは、思いのほか大変な作業です。しっかりと過去を思い出すには脳をフル回転させなければならず、意外にけっこう疲れると感じる人もいるかもしれません。正確を期すためには、調べる必要があるものも色々と出てくるでしょう。
つまり自分史を書くというのは、とてもエネルギーの要ることなのです。それがなんとなく分かっているから、自分史を書いてみたいのだけれどなかなか重い腰が上がらない…。そんな方にお勧めなのが、「とりあえず書く」というラフな思考です。
そもそも途中で自分史を書くのを止めたとしても、誰にも迷惑は掛かりません。締め切りがあるわけでもないので気楽です。無理のない自分のペースで、なんとなく気が向いたときに、ちょっと思い出したことをメモってみるくらいの緩い感じでちょうどいいのではないでしょうか。
なぜなら当然ですが、最初から超大作を書ける人はいないからです。完璧を目指そうとしすぎるがあまり、それがプレッシャーとなり、途中で投げ出してしまうというケースも実はけっこうあるそうです。ただ、それで未完成に終わってしまっては、なんだか残念ですよね。
そうではなく、まずは実践あるのみ。とにかくがむしゃらに書き進めたり、あるいは誰かの書いた自分史を読んでみたりしながら要領をつかみ、少しずつ自分のペースをつかむことができたなら、最終的に満足のいくものが完成すると思います。
「自分史」は、書き終えること自体が目的の全てではありません。むしろその製作段階で昔の友人との旧交を温めたり、思い出の地を再訪したり、昔を思い出して懐かしんだりするといったその過程にこそ、醍醐味があるような気がします。旅行にしても目的までの道中も楽しいものですが、まさにそんな感覚です。
極論を言えば、製作段階を充分に楽しみ自分が心から満足できれば、または自分の人生の意味を見いだせたなら、仮にそれが「自分史」という一つの形にならなかったとしても、非常に意味のあることだと思います。
自分史制作以外に限らず、「とりあえずやってみる」は、自分の人生を豊かにするための魔法の言葉。この姿勢が新たな挑戦に繋がり、自身に活力と経験を生み、結果的に自己成長や思慮深さ、懐の広さなどにつながるからです。
ですから自分史を書こうかどうか迷ったら、「とりあえず、書いてみる」。このちょっとした意識改革が、自分だけでなく周囲の人々にささやかな幸せをもたらすとしたら、それは素晴らしいことだと思います。