コラム
COLUMN
書き方
なぜ、若い人は「自分史」を書いたほうがいいのか
「自分史」は、若い人が取り組むうえでも大きな意義があります。
一般的に「自分史」というと、人生の集大成的なものを想像しがちですよね。確かに実際に書いているのも、定年退職された方やシニア層を中心とした60~70代が圧倒的に多いという統計上の数字も出ています。
ただ、自分史には自分の生きた証や思いを記すほか、「自己を成長させるツール」という側面があります。自分史を書きつつ客観的に俯瞰から自分を見つめなおすことで、自分はいったい何がしたいのか、自分の人生において何が大切か、何をすべきかの本質が見えてくるからです。とするなら自分史執筆はむしろ、「若いときに取り組んだほうがより意味があるもの」と考えることもできます。
これらを踏まえ、若い人が自分史制作に着手すべき絶好のタイミングがあります。それは就職活動シーズン時期です。中学生や高校生だと部活動や受験、アルバイトなどで何かと忙しいですし、そもそも過去をじっくり振り返るという年齢でもありませんが、大学生ならばある程度、時間に融通が利きます。その際、社会に出る前の準備段階として過去の自分が歩んできた道を振り返り、自分が成し遂げたことや社会に対する考えを整理しておけば、就職活動では間違いなくプラスに作用します。自己PRもやっつけではなく、事実に基づいた内容をしっかりまとめることができそうです。
もちろん大学生でなくても、次のステージで「学ぶ」のでなく「働く」のなら、あるいは転職で異業種の職場に飛び込むのならば、自分史制作を通じて自分と真摯に向き合うことで、新たな環境でも自分らしさをいかんなく発揮できると思います。
学生から社会人になるというのは、人生においてかなり大きな岐路です。今までお金を払って学ぶ側から、労働の対価としてお金を得る側に回るという、真逆の生活が待っているからです。そして労働の義務は、その後の人生においてずっと求められるものです。
だからこそ社会に羽ばたくタイミングで自分には何ができるか、何が向いているのか、自分が本当にしたいことは何かを把握しておけば、その後の人生をより有意義に生きられることは間違いありません。
自分が心から望んでいるものは何か。逆に絶対にしたくないことは何か。何をしているときに心からの喜びを感じられるか。これを深いレベルで知って初めて、本当に就くべき職業や理想の職場が見えてくるものだと思います。もしあなたが就活生だとしたら、自分を深く知るため、また企業選びで失敗しないために、就職活動と並行して自分史制作に着手することをお勧めします。