コラム
COLUMN
書き方
「自分史」は人々の希望でもある
今回は、周囲の人々と「自分史」についてです。
当然ですが、自分一人で成長して大人になったという人は誰もいません。人間は家族や親せき、学校の先生、近隣の大人や友だちと関わるなかで自我が形成され、成長します。つまり自分史はある意味で、「人々と関わってきた歴史」でもあるわけです。
だからこそ、もし自分史を書こうと決意したのであれば、これを機に今までお世話になった人や旧友に会いに行くことをお勧めします。自分の脳のメモリには記憶されていない自分のエピソードを、楽しげに語ってくれるかもしれませんからね。
特に、人付き合いが苦手な方や日々の仕事に追われている方などは、何かの契機がないと人に会う意欲が湧いてこないもの。その意味で「自分史制作」は、幼ななじみや大学時代の友だち、社会人時代の部下など、これまでの人生で親交のあった方々と再会するいいきっかけにもなると思います。特に今の時代はフェイスブックやLINEなど人脈を可視化するサービスが充実しているため、旧交を温めやすい時代でもあると思います。
いざ久々に連絡がきた相手は、懐かしさも相まって、きっとうれしく感じているはずです。それを機に新たな出会いがあったり、新しい道が開けたり、人生の豊かさにつながるヒントが見つかるかもしれません。
「人間の存在が、希望そのものなんだ──」
これはある人気漫画の主人公が危機に瀕し、そばにいた仲間のぬくもりを心から感じたときに思わず口に出たセリフ。自分が頑張れたり救われたり温かい気持ちになったりするのは、すべて自分以外の誰かがいるからです。どんなひとであれ、誰かの希望になっていると考えると、人は生きているだけで価値や意味があるのだと思います。
そして、誰かが書いた自分史もまた、誰かにとっての希望です。しかも自分史は、その人がこの世を去ったとしても、誰かの希望として未来永劫、残り続けます。いま書いている「自分史」もきっと将来、誰かの希望となるはずです。