コラム
COLUMN
書き方
2019/02/12
どんな「自分史」が読者の胸を打つか?
「自分史」も映画や小説と同様、一つの物語。
しかし「自分史」はその内容よりも書き手の姿勢が、感動できるかどうかを左右します。「自分史」は日本史や世界史のように史実なので、可能なかぎり正確に書くのがベターです。その際に自分が経てきた客観的な事実はもちろんのこと、そのとき自分がどう感じたか、つまり本音をウソ偽りなく記すことで、必ず読者に響きます。書き手の誠実な心が、読者にリアリティのある緊張感として伝わるからです。
読者によく思われたいがために、都合よく事実を捻じ曲げたり、大げさに書いたり、全くの創作を書いてしまうこともあるかもしれません。しかしごまかして書いたような内容だとどうしても不自然さがにじみ出てしまい、説得力に欠きます。読者にリアルさが伝わらなければ、何も心に響かないのではないかと思います。
では、自分が書きたくないこと、誰かに迷惑をかけてしまうような内容についてはどうすべきか。もちろんそれを承知で書く手もありますが、別に無理をして書かなくてもいいと思います。内容は事実であるのが大前提ですが、事実を全て書かなければいけないというわけではありません。書けることを誠実に、詳細に書く。それだけできっと、読者の心は掴めます。
「事実は小説よりも奇なり」という言葉もありますが、「自分史」は壮大な史実でもあるだけに、下手に脚色する必要は全くないのです。