コラム
COLUMN
書き方
「自分史」は、〝人生の豊かさ"への第一歩
■執筆中、執筆後における自分史制作のメリット
自分史を書くことで得られるものは様々ありますが、「人生の豊かさ」に繋がるのも大きなメリットです。
では、なぜ人生の豊かさに繋がるのでしょうか。それを説明する前にまず、自分史を書くメリットとして代表的なものを下記に列挙します。
【執筆中】
・家族や友人との絆を再認識できる
・自分という存在を深く知れる
・認知症の予防になる
・親孝行につながる
【執筆後】
・自分の人生が形あるものとして未来永劫、残っていく
・自分のことをより読者に知ってもらうことができる
・将来、時代背景を考察するための資料になる
・読者の人生を好転できる
どれも、長い人生で考えるとプラスになるものは多いですが、冒頭に挙げた「人生の豊かさ」に直結するのは【執筆中】の〝自分という存在を深く知れる″という項目です。
■自分を客観視することの大切さ
自分史を書くにあたり自分の人生を振り返ったとき、自分の意外な一面や新たな一面を再発見する人は多いです。時を経て改めて自分の思考や行動を客観的に評価することで、自らの考え方の変化がみえてくるからです。歳を重ねたからこそ自分の本質的な気持ちに気づく、ということも決して少なくありません。
このように自分のことはよく知っているつもりでも、いざ自分の足跡を辿ってみると、意外と忘れていることばかりだったりするもの。実際、そうした人のほうが圧倒的に多いです。なぜなら、自分史制作など何らかのきっかけでもないかぎり、常に主観でいる自分を客観視することは非常に難しいからです。
現在に至るまで自分はどんな生活をしてきたか、何を考て生きてきたか、やりたいことは何か、本当に大切なものは何か、順調な人生を歩んでこられたのはなぜか、あるいは何が自分の道を踏み誤らせたのか…。自分史を書くうえで避けては通れないこれらのことに真剣に思いを巡らすことで、日常生活で忙殺されがちな自分の本心や本質が見えてきます。これは、自分史政策における大きなメリットです。
■自分史制作が「人生の豊かさ」につながる理由
ではなぜ、自分史を通じて自分を客観視することが「人生の豊かさ」に繋がるのか。それは、あえて自らを客観視することで、本当に自分が何を心から求めているのかがハッキリと分かるからです。
それをリアルに思い描ければ、〝この先、どうすれば今より有意義な人生が送れるか″が明確になります。こうした視点で考えると、自分史を作るということはある意味、人生の豊かさに直結するとも言えるのです。
もちろん、人間社会には様々なしがらみがあるだけに行動や環境を変えられない人が大多数だと思いますから、自らの本心を知ったからと言ってすぐに豊かな心を手に入れられるとは限りません。ただ少なくとも、それが人生における希望になるはずです。
ですから、「自分史」を書く書かないにかかわらず、自分史を経てきた道を再認識する意味でも、主観の自分から一歩引いてみて自らの過去についてじっくりと考えてみるというのは、実はとても有意義なことです。
さらにその一環として「自分史」を書くことで、より大きなものが得られます。実際、自分自身と真摯に向き合い、長い時間をかけて自分史を作り終えた人の多くは、充実感や満足感に満ち溢れるそうです。きっとこれは「自分史を書き上げた」という達成感はもちろんのこと、「自分自身のことを本当の意味で知ることができた」という、素直な喜びも含まれているからではないでしょうか。
■画一的な「人生の豊かさ」は存在しない
さて、ではそもそも「人生の豊かさ」とはなんでしょうか。目に見える形で言うと、例えば数十億円の資産を持っているようなお金持ちの人の人生は豊かに思えます。ほかにも、家で楽しそうに一家団欒している家族もまた、豊かな人生のようにみえるでしょう。
確かに、資産をたくさん持っている人や家族に恵まれている人のほうが、人生も豊かさを感じやすいことは否定のしようがない事実です。
ただ、人生の豊かさに正解や優劣はありません。当然ですが人それぞれ、価値観が違うからです。例えば、「タワーマンションの最上階に住んでおり、いつも一人で黙々と食事をする富裕層の独身中年男性」と「いつも夕食時には家族で仲良く和気あいあいと談笑しながら笑顔で食卓を囲んでいるサラリーマン中年男性」と比較した場合、どちらが豊かな人生でしょうか。
こうやって比較すると、経済的な豊かさよりも精神的な豊かさが重んじられる昨今だけに、一見すると平凡なサラリーマンのほうが幸せそうに思えるかもしれません。しかしこの問いの答えは「分からない」が正解です。
前者の富裕層の中年男性は、一人であることに心から喜びを感じているかもしれませんし、後者のサラリーマンは、本当は自由な時間を家族と費やすよりも趣味に没頭したいと思っているかもしれない。つまり傍からみただけでは、その人が豊かな人生を送っているかどうかは本当の意味では分からないのです。言い方を換えれば、画一的な「人生の豊かさ」など存在しないということです。
彼らがその状況に「人生の豊かさ」を感じているかどうかは、その本人に聞くしかありませんが、その当の本人でさえ、自分の人生が豊かなのかどうなのか、明確に答えられない可能性は大きいと思います。何かと忙しい現代人の多くは、わざわざ自分自身の心の奥底を深掘りしないからです。
■画一的な豊かさの矛盾
ではなぜ、多くの人は自分自身のことを深掘りしないのでしょうか。それは、小さい頃から親や先生に画一的な「人生の豊かさ」を押し付けられながら生きてきたからです。
親が「勉強しなさい」というのは、つまるところ「勉強していい大学に入っていい会社に就職しなさい」という意味合いですから、〝画一的な経済的豊かさ″を押し付けていることになります。また、親が「早く結婚しなさい」というのは「結婚=幸せ」という、〝画一的な精神的豊かさ″の押し付けです。そこには世間体を気にしたり、早く孫の顔が観たいといった親のエゴも含まれていそうです。
もちろん親とすれば、良かれと思って言っていることでしょう。しかし先にも触れたとおり、「人生の豊かさ」に画一的なものは存在しません。ということは、多くの人がこの大きな矛盾を抱えたまま、その矛盾に気付かず大人になります。それゆえに多くの人が、何となく他人の人生と比較しながら、画一的な「人生の豊かさ」という虚構を手探りで、何となく追い求めてしまうのです。日本人の幸福度が低いのは、まさにこの点にあると言っていいと思います。
誰もが人生の豊かさを求めて生きていると思いますが、知らず知らずのうちに〝画一的″な豊かさを求めてしまうからこそ、心から現状を幸せに感じられる人が他国に比べて少ないのではないでしょうか。
■本当の意味での「人生の豊かさ」とは
繰り返しになりますが、普遍的で画一的な「心の豊かさ」はありません。いわば「心の豊かさ」は既製品ではなく、全てがオーダーメイドです。にもかかわらず、世の中にはその〝既製品″であふれているのも事実です。
では、本当の意味での「心の豊かさ」とはなんでしょうか。それは、お金をたくさん持っているとか、配偶者と子どもがいるといった、既成事実ではありません。心の豊かさとはシンプルに、今の自分の暮らしや環境に〝心から現状に満足している″状態ではないでしょうか。
極論を言えば大企業の経営者であれ公園や高架下に住むホームレスであれ、心から今の自分の環境に満足していれば「心が豊か」であると言えますし、その度合いは全く同じです。またその逆も然りで、周りからみればどんなに恵まれた環境にいる人だとしても、自分が現状に満足できなければ心が豊かとは言えないでしょう。
一般論として企業経営者は人生の勝ち組、ホームレスは人生の負け組というような価値観はあります。ただ、それは他人の価値観であり、自分の価値観ではありません。たとえそれが、大多数の人が感じているであろう価値観だからと言って、それに倣うことと「心の豊かさ」は直結しないのです。
大切なのは、あくまでも当人の気持ち。周りにどう思われようと、何を言われようと、本人が満足していればそれが何よりの「人生の豊かさ」です。その人の置かれた境遇は一切関係ありません。
■「人生の豊かさ」は誰でも手に入れられる
では、その「人生の豊かさ」はどうやって手に入れることができるのか。その大前提として真っ先に必要なのは、周囲から普遍的な価値観を押し付けられて胸の奥底に追いやられてしまいがちな、本当の自分の気持ちを知ることです。
これが分からなければ、どんなに他人が羨むような生活をしようとも、人生の豊かさは手に入れられません。世のなかには、自分の本当の気持ちを知りながら、それを押し殺して生活している人も少なからずと思いますが、自らの本心を知らない人よりもこの人たちのほうが、「人生の豊かさ」を手に入れる可能性は高いです。なぜなら、あとは自分の気持ちに準じる行動力があればいいだけだからです。
もちろん現代社会を生きるうえで、全てのしがらみをかなぐり捨てて、自分の思うがままの環境を手に入れるというのは、そう簡単なことではありません。であれば、周りと折り合いを付けつつも、それに近づく努力をし続けることで、自然と心が豊かになっていくのではないでしょうか。
■まとめ
では、どうやって本当の自分の気持ちを知ることができるのか。また記事の冒頭部分の繰り返しになりますが、その一つの方法として「自分史制作」があります。情報に溢れている昨今、その情報の波に飲まれて自分の奥底に眠る本当の気持ちを忘れている人や、固定観念や常識や旧来の価値観に捉われて自分の心を押し殺して生きている人も少なくないですが、もし心の豊かさを手に入れたいと思ったら、その第一歩としてぜひ「自分史制作」をお勧めします。
(このサイトや弊社の取り組みを通じて、そのお手伝いができれば幸いです)