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書き方

2022/11/11

「自分史」を残すには書籍か、デジタルか

「自分史」を残すには書籍か、デジタルか

 


■自分史を書き終えた後に考えること


もしもあなたが今、自らの「自分史」を全て書き終えたとします。それが紙であっても、ワードなどのテキストエディタでも構わないのですが、次に生じるステップは、”どのようにしてまとめるか″ということです。

 

一般的に「自分史」と聞いて、まずパッと思い浮かべるのは〝書籍″ではないかと思います。確かに既存の自分史は書籍の形がほとんどですし、自分史専門の図書館があるくらいですが、別に書籍でなければならないルールはありません。「一冊の本にまとめる」というのがオーソドックスなスタイルであるものの、それが正しいというわけでもないのです。

 

自ら書いた文章や撮影した写真データは、いわば素材。料理で言えば、食材(テキスト・画像素材)をどんな調理方法(どんな媒体)で、誰が料理(製本・編集作業など)をするのかで、仕上がりは大きく変わります。「自分史」という素材をどうしたいのか、まずは記録するメディアの特性を理解したうえで考えていくと後々スムーズになると思います。

 

 

■2つの記録媒体


自分史を残すうえで現実的な情報記録メディアは、大別すると下記の2つ。

 

①  紙媒体 (書籍・雑誌・リーフレット・紙焼き写真など)
②  電子媒体 (動画・音声データ・SNS・画像データなど)

 

「自分史」はその性質上、後世に残していくものと考えると、できるだけ耐久性の高い媒体が望ましいですが、寿命に関して言うと紙のほうが圧倒的に長いです。電子情報を半永久的に残したいのならば、例えばビデオテープからDVDへといったように、新しい記録媒体に書き換える作業が必要になります。
何を重んじるかにもよりますが、記録媒体を選ぶうえで耐久性は気になる点だと思いますので、それぞれの寿命について解説します。

 


■「和紙」と「洋紙」の寿命について


紙は大きく分けて「洋紙」と「和紙」の2種類があります。その寿命はおおよそですが、「洋紙」が300~400年、「和紙」が1000年と言われています。

 

まず、西洋の製法である「洋紙」の材料になっているのは、広葉樹から作られる木材パルプ。紙の形に仕上げる際に硫酸アルミニウムなどの薬品を用いており、品質が安定しやすいので大量生産に適していますが、その副作用として将来的に変色や変質が起こりやすく、これが和紙との寿命の差に繋がっています。

 

一方で和紙は薬品を使わず、植物の内皮を原料とした強靭で長い繊維を絡み合わせて仕上げるので、洋紙よりも圧倒的に耐久性が高いです。なお、現存する最も古い和紙は702年に作成された戸籍の記録。以降、1300年間以上にもわたり奈良の正倉院(奈良・平安時代の重要品を収蔵していた建物)に保管され続けているそうです。
ただ、和紙は作るのに手間がかかり大量生産に向いていないことから、現在はあまり出回っていません。実際にはご存じのとおり、書籍として流通するほとんどの紙が洋紙です。ですから「自分史」を製本する際も、特殊な製法をしないかぎり洋紙になるということです。

 

 

■「洋紙」の進化


「洋紙」にも種類があり、書籍や重要書類など長期保存が必要なものは「中性紙」、新聞や雑誌、包装紙など保存の必要がない紙は「酸性紙」が用いられています。寿命は中性紙が300~400年、酸性紙が100年ほどです。

 

日本で初めて洋紙が生産されたのは1874年ですが、その頃の洋紙のほとんどが酸性紙でした。つまりもともとは全ての洋紙が、硫酸アルミニウムなどの薬品が使われた酸性紙だったということです。
時は流れて1980年代になると、酸性紙の寿命どおり、洋紙劣化の問題が浮き彫りになります。図書館に保管されていた1800年代後半の書物が軒並み茶色く変色し、ひどいものだと粉々になってしまう図書もあったほどです。
この問題の対応策として生まれたのが、いま主流となっている「中性紙」です。主な劣化の原因となっていた硫酸アルミニウムを使用しない紙の製法が編み出されたため、その寿命が3~4倍に増えたのです。さらに製紙技術が進んだいま、洋紙でありながら寿命1000年の紙も登場しています。

 

実際、日本ノート(株)がリリースしたノートのブランド「アピカ」は、”1000年ペーパー″をキャッチコピーとしたカバーノートを販売しています。中性紙の寿命をさらに伸ばす加工が施されているため、価格は通常のノートよりも割高ですが、それでも1000年というインパクトは絶大です。

 

このように、ほんの数十年前まで100年だった洋紙の寿命は、ものによってはいまや1000年と、10倍にもなっているのが現状です。ただ実際問題として、いま印刷会社に自分史の製本を依頼すると、おそらく通常の中性紙が用いられるので、その寿命は300~400年といったところでしょうか。

 

■デジタルデータの寿命


では次に、デジタルデータの寿命をみていきます。一口にデジタルデータと言っても、保存するための機器やメディアはたくさんあるので一概には言えませんが、一媒体での保存期間は概ね10~30年ほどと言われています。今のところ、デジタルデータを半永久的に保存する技術は確立されていないため、それ以上の期間で保存するには既存の記録媒体から別の記録媒体へ、データを移し替える作業が必要になってきます。デジタルデータとは少し違いますが、一昔前に映像記録の手法として主流だったビデオテープの映像をDVDに保存しなおすといったイメージです。


では、記録メディアごとの寿命を列挙します。

 

・光ディスク(CD、DVD、ブルーレイなど) 寿命:10~30年

データを保存するには、パソコンからDVDなどの光ディスクに書き込むという手間は必要ですが、通常の記録メディアのなかでは最も長期保存が可能です。ただし湿気や紫外線の影響を受けやすいため、保存方法によって寿命が大きく左右されるという側面もあります。
ディスク1枚の単価が安く、例えば録画用DVDであれば50枚1000円ほどで購入できます。また薄くて軽いので、郵送したり受け渡しがしやすいというのもメリットです。

 


・磁気テープ(カセットテープ、ビデオカセットなど) 寿命:10年~20年

磁気テープというとアナログで過去の技術にように思われますが、データの長期保存という意味では優れています。さらに、光ディスクよりもさらに安価で大容量のデータを保存できるため、一般的には業務用の記憶メディアとして用いられることが多いです。
そもそも、デジタルデータ用の磁気テープやその機器を扱う家電販売店が少ないこともあり、自分史のデータ保存という意味では現実的ではなさそうです。

 


・フラッシュメモリ(USBメモリ、SDカードなど) 寿命:5~10年

手軽に持ち運べるUSBメモリや、デジカメなどで用いられるSDカードは、簡単にデータをやり取りできる反面、長期保存には適していません。便利ではあるものの、一時的な保存場所として捉えておく必要があります。なお、一瞬でデータ消去ができることからフラッシュ(閃光)メモリと名付けられています。

 


・ハードディスクドライブ(パソコン、外付けハードディスク、サーバなど) 寿命:3~5年

筐体の大きさや汎用性の高さから、パソコンにデータを保存していればなんとなく安全と思いがちですが、実際には振動や衝撃などに弱く長期保存には不向きです。そのため、他の記録メディアに保存するなど定期的なバックアップが必要になります。

 


・フロッピーディスク 寿命:2~5年

フロッピーディスクは今から20年以上前、黎明期のパソコンやワープロなどで、今のUSBメモリのように一時的なデータ保存の媒体として主に使われていましたが、今ではほとんど用いられていません。そもそも今の記録媒体と比べて圧倒的に容量が少ないうえ、埃や紫外線に弱いため長期保存には向いていません。

以上が電子記録メディアの寿命ですが、どの媒体も基本的には、紙の寿命よりも短いものがほとんどです。ただ、デジタルの分野の技術革新は目覚ましく、最近では長期保存用の光ディスクが市場に出回るようになりました。このディスクの寿命は約100年で、既存のDVDドライブなどで読み込むことができますが、データを書き込むには専用のドライブが必要になるため、まだまだ一般的とは言えないという状況です。

 

 

■紙とデジタルの優れた部分を活かすのが理想


さて、媒体の寿命については紙のほうが圧倒的に長いことが分かりました。ただし紙では表現できないもの、それが画像と音声のデータです。この2つについては稿を改めますが、逆に言えば自分史の媒体は、何を残したいかで選べばいいということです。そしてこれが結論とも言えるのですが、「自分史」を制作する際は、紙とデジタルデータの両方を用いることでスムーズな製作が可能です。

 

例えば自分史を書く手段として紙(手書き)や電子(パソコン等)がありますが、文章を後から編集、校正するうえで便利なのは圧倒的にパソコンを用いたものです。Wordなどの文章作成ソフトやテキストエディタであれば加筆・修正が簡単にできますが、手書きだとそう簡単にはいきませんよね。


また、最終的に製本することを考えるのならば、制作会社や印刷会社と原稿をやりとりしやすい電子媒体のほうがスムーズです。手元に紙ベースの原稿があるのであれば、文字を自動で読み取りテキストを抽出できるソフトなどでテキストデータ化するのもお勧めです。

 

 

■まとめ


自分史を残すなら書籍かデジタルかというテーマでそれぞれ比較してきましたが、その寿命はざっくり言えば紙は500年ほど、データは50年ほどと約10倍の差があります。また、書籍ならば成果物が形として残り手に取れるのに対して、デジタルは目に見えないものですから、実態が分かりづらいというデメリットもあります。ただ、制作に関しては画像データを取り込めたり、文章を手軽に編集・加筆できるデジタルが圧倒的に便利です。

こうして考えてみると、自分史の制作過程はデジタル、「自分史」として残すのは従来どおり書籍というのが、最もベターな方法と言えそうです。

 

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