コラム
COLUMN

書き方

2022/11/01

「自分史」はどこから書けばいいのか?

「自分史」はどこから書けばいいのか?
 
 
 
■書き始めの意識

 
「自分史」を書く決意をしたとして、まずはどこから書けばいいのでしょうか。
 
こう一口に言っても書き方の様式は様々で、コラム【「自分史」の3つの骨組み】で触れたように「半生記」「体験記」「身辺雑記」などどのパターンにするかによっても変わってきますが、まずは書き始めの意識について考えてみます。
 
「文章を書く」というのは、自分の頭のなかにある記憶や情報をひっぱり出し、それをアウトプットしながら文章としてまとめていく作業のこと。普段から文章を書きなれている人ならば、特に抵抗なく書き始めることができると思いますが、そうでない人にとって「自分史を書く」、というよりそもそも文章を書くという行為自体、とてもハードルが高く感じられるかもしれません。
 
 
■書き出しに詰まるのは当然

 

文章を書きなれていない人が自分史執筆をするにあたり、例えば冒頭に「私は昭和××年○月○日に、N県A市に、父・◆◆、母・□□の長男として生まれました」という感じで自らの大前提になる情報を書き始めたとしても、その次に何を書いていいのかまったく浮かばないといったケースも意外に多いです。
自分史を書く際は〝過去→現在″という流れで時間軸に沿って記していくのが一般的ですが、書くのが苦手な人のなかには生誕の客観的事実を書いただけで、ペンが止まってしまう人もいるのです。
仮にもしそのような状態に状態に陥り、出だしから躓いてしまったとしても、それは書きなれていないからという理由だけではありません。現在からみて最も遠い記憶となる生誕直後のことを書こうとしても、何も思い出せないのは当然だからです。
 
 
■スムーズに書き進めるために

 

 
では、何をどこから書けばいいのか。それはシンプルに、「書きやすいところから書く」のが一番いいと思います。自分のなかで最も印象に残っていたり、記憶が鮮明に蘇ってくるようなエピソードですね。
要するに書き始める際は、書く順序を気にする必要はないということです。歴史の授業のように、過去から現在に至るまでを時間軸に沿って律儀に書き進めようとするから詰まってしまうのであって、書けそうな時期の出来事から優先で書いていけば、スムーズに滑り出せると思います。
そして最後に、バラバラの順番で書いたエピソードを時間軸に沿って並び替えれば、それだけで充分に自分史と言えます。そのうえで、全体を通して内容の整合性が図れば完璧です。
 
書けるところから書いていくうちに、文章を書くこと自体にも慣れてくるはずです。また、自分史を書き進めることによって徐々に過去の記憶の扉が開いていき、忘れていたエピソードも思い出しやすくなるのです。書くこと自体に抵抗がなくなれば、きっと遠い過去の記憶も、思いのほかスラスラと書き進められるのではないかと思います。
 
 
 
■「書くのが苦手」の最も多い理由

 

ただ、それでも書くのが苦手でなかなか書き進められないという人もいるでしょう。「過去の記憶はあるのだけど、それを文章にできない」「何をどう何を書くべきか全く思いつかない」など、書くことに関する悩みを持つ人も決して少なくありません。
 
では、なぜ書くのをためらってしまうのか。最も多い理由として挙げられるのが、〝うまく書こうとしすぎる″というケースです。基本的に文章は、誰でも書けます。ただ、いきなり完璧を求めすぎるがあまり、理想と現実のギャップを感じて筆が進まないことが多いのです。
とはいえ、よほど技術のあるライターでもないかぎり、最初からうまく書ける人などいません。著名な作家や小説家でさえ、何度も一度書いた文章を読みなおして加筆・修正をして仕上げるわけです。なので、失敗を恐れずにまずは書いてみるという姿勢が大事です。テレビやラジオの生放送ではないので、後から修正や編集はいくらでもできるわけですからね。
 
 
 
■箇条書きでも立派な文章に

 
最初は文章の体をなしていなくても、下記の例のように箇条書きでもいいと思います。
 
19××年、東京都東京市四谷区に生まれた
実家は千駄ヶ谷で中華料理屋を営んでいた
きょうだいは4人 兄、姉、私、弟の順番で、私は次男だ
父は頑固で、酒癖が悪かった 
母は優しくて愛想がよく、お店での接客はピカイチだった
店の人気メニューは五目焼きそば
小学校は歩いて5分ほどの場所にある四谷第二小学校。忘れものばかりしていて、そのたびに廊下に立たされた
 
 
文章を連ねずとも、こんなふうに思いつくまま過去の記憶を箇条書きにするだけで、なんとなく形になるのがわかるでしょうか。そしてこのまま箇条書きの項目を順番に並べるだけでも、それなりに立派な文章になるのです。
 
 
 
■常に小さなカテゴリを意識する

 

 
箇条書きはある意味、小さなカテゴリです。①は生まれたときの話。②は実家。③はきょうだい。④は父。⑤は母。⑥は親が営む店。 ⑦は小学校。こうやってそれぞれの文章がカテゴリ別に区切られていることを意識することで、あとから肉付けや加筆がしやすくなります。
 
例えば⑥の「店の人気メニューは五目焼きそば」のあとに「わざわざ遠方から訪れて注文するファンもいた」「私が小学校低学年のとき、よく店のカウンターの隅で宿題をさせてもらっていた。お客さんから算数の解き方を教えてもらったこともある」など、この小カテゴリで言えば、この店にまつわるエピソードを思い出すたびに書き加えていけば、だんだんと内容が充実していきます。風船のように、文章を膨らませていくイメージですね。このようにあとから情報を補足して行けるからこそ、思いつくままに文章を書くだけでもある程度の形になるのです。
 
これらの小カテゴリによっては、さらに間口を絞ったほうがまとめやすくなります。例えば小学生時代のことを書くのだとしたら、「小学生のときのこと」というざっくりしたテーマでは幅が広すぎますよね。
そうではなく、例えば「小学1年時の担任の先生」「3年生のときの移動教室」「5年生のときに家族で行った北海道旅行」といった具合に、よりピンポイントでエピソードを絞るほうが記憶が蘇りやすく、書きやすいのではないかと思います。
もちろん、思い出せないイベントはどんどん飛ばして問題ありません。思い出せないということは、自分にとって大したエピソードではないということなので、自分史には必要ないというラフな感覚でいいと思います。
 
 
■まとめ

 

「自分史」を書くにあたり、いきなり完璧を求めると苦しくなるだけ。せっかく書く気になっているのに、なかなかうまく書けないという理由で、自分史執筆を諦めてしまった人も少なくありません。繰り返しになりますが、まずは書けるところから書いていくのが継続的に書き続けられるコツです。
書くのが苦手であれば、過去の要素をカテゴリ分けしたうえで、思い出せる記憶を箇条書きで挙げていってみてください。それを文章として並べるだけでも、充分に自分史です。それぞれの項目を膨らませることができれば、なおいいと思います。
 
このように、一つ一つの出来事を丁寧に回想することで、それに付随する記憶もよみがえるもの。そうやって芋づる式に往時の記憶が鮮明に浮かび上がれば、きっと素晴らしい内容の自分史が書けるはずです。まずはパッと思い出せるところから、じっくり書き始めてみてください。

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