コラム
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自分史の豆知識
【1925年】自分史と関連付けて書きたい1925年の出来事
1925(大正14)年に生まれた人は、今年(2022年)で97歳を迎えます。
1926年の12月25日までが大正時代ですから、まさに大正時代末期。1912年7月30日から始まった大正時代はわずか14年半で終わるわけですが、この間に日本は、第一次世界大戦における物資の生産拠点として戦火のヨーロッパを中心に貿易を加速させています。そのなかで繊維業や漁網製造などの軽工業、鉄鋼業・造船業などの重工業の双方が爆発的に発展し、一気に近代化が進みました。
近代化の波は産業だけでなく文化面にも影響を及ぼし、「大正モダン」として華やかな大衆文化が根付き始めたのもこの時期。街では呉服屋が次々と百貨店となり、都心部では大企業や外資系企業に勤める大卒・高収入のホワイトカラーが台頭、インフラでは上下水、ガス、電気が都心部を中心に普及し始めます。女性の社会進出も目覚ましく、電話交換手や女子事務員、バスガールといった、いわゆる「職業婦人」が増え始めた時期でもありました。
そんな大正末期の1925年は、普通選挙法が制定された年でもあります。それまでは一定の納税額を満たすものだけに選挙権が与えられる制限選挙でしたが、この年から満25歳以上の全ての成年男子に選挙権が与えられることになります。〝男性だけ″という部分に社会的背景を感じますが、全ての成人男女による完全普通選挙が行なわれたのは、それから約20年後の1945年でした。
また、スポーツ界ではこの年の9月に東京六大学野球リーグが始まり、12月には日本相撲協会が設立。メディアではNHKがラジオ放送を開始し、交通インフラでは京王電鉄(新宿─八王子)が開通しています。
〈1925年の新商品〉
・マヨネーズ(この年、キューピーが日本で初めてマヨネーズを発表。当初は全く売れなかったが、徐々に人気に火が付く)
・小型カメラ(近代的精密小型カメラ・ライカIAが販売開始)
〈1925年の新語・流行語〉
・治安(この年に治安維持法が制定。私有財産制を否定する運動を取り締まることを目的として制定された)
・トロツキスト(裏切り者として知られるロシアの思想家・トロツキーから。日本共産党は、共産党結成初期に共産党から分離した労農派をこう呼んでいた)
〈1925年のファッション〉
・ルパシカ(食品メーカー、新宿中村屋が店員の制服にロシアの民族衣装・ルパシカを採用。注目を集める)
〈1925年の音楽〉
・あめふり(♪あめあめ ふれふれ かあさんが)
・待ちぼうけ(♪待ちぼうけ 待ちぼうけ ある日 せっせと 野良かせぎ)
〈1925年に生まれた著名人〉
1月14日 三島由紀夫(小説家・劇作家。代表作は「仮面の告白」「潮騒」など。純粋な愛国心から憲法改正を求めたのち、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地で割腹自殺するという壮絶な死を遂げる)
5月10日 橋田壽賀子(脚本家。代表作は「おしん」「おんな太閤記」「渡る世間は鬼ばかり」など)
6月6日 大滝秀治(俳優。日活のアクション映画で悪役として名を馳せる。関根勤がモノマネすることでも知られる)
9月17日 杉下茂(元プロ野球選手。主に中日ドラゴンズに在籍。日本で初めてフォークボールを自在に操り活躍したことから「フォークボールの神様」と呼ばれる)
11月30日 林家三平 (初代) (落語家。1955年に落語番組の司会に抜擢され三平ブームに。現在はその名を2009年に襲名した二代目林家三平が活動中)